【動画による講義】
【文字による講義】
ヴィパッサナー瞑想の歩く瞑想は気づきの対象の足の動きが明瞭なので、気づきの力を高め効果を進展させることにとても適しています。
足の動作のしかた、あげかた、進めかた、下ろしかた、歩幅はアーナパーナの歩く瞑想と同様ですが、呼吸と歩みに集中し続けることはしません。
呼吸に注力することはせずに、歩く動作を心の中で足、足の動きをモニタリング=観察して気づきながらします。そして記憶や思考、感情、心の状態、感覚、心身の現象が現れたら気づきます。
特別に時間をつくってする取組み
歩く瞑想はそれだけでしてもよいですし、坐る瞑想とセットで坐る瞑想の前にしてもよいです。できれば1日1回はセットにして取組むとよいです。
はじめから長めの時間でもよいですし、5分間位からはじめて長くしていくのでもよいです。
やり方
力がついてきたら屋外ですることも良いですが、屋外は周囲に気が散るので、屋外でしたい場合はまずは屋内で取組んで力をつけます。
歩く場所は直線で3、4メートルあれば十分可能です。そこを往復するようにします。
- 手は下腹部の前か腰の後ろで自然に両手を重ねます。
- 目は軽く開いている程度にします。
- 前かがみにならないようにして、視線はまっすぐ前の斜め下、目安として足の6個分位前に向けて周囲に向けないようにします。足は見えないようにします。
- 呼吸は意識せず普通にします。
- 気づきをしっかりとできるようにゆっくりゆっくりと歩きます。
足の動作のし方
足のあげ方、進め方、下ろし方、歩幅はアーナパーナの歩く瞑想と同じく次のようにします。
- 足を上げるときは、一度に足すべてを上げるのではなくてカカトから上げて、しだいに足の裏を床から離し、つま先を上げます。
- 上げた足を進めるときは、足の裏を床に水平にして前に進めて、水平にしたまま床に下ろしていきます。
- 足を下ろす位置は、カカトがもう片方の足の指先と同じライン位にします。足の裏すべてが床に着くまで、もう片方の足のカカトは上げません。
歩みの進めかた
心の中で動かす足に注意を向けて、一歩一歩をただ一歩と歩むのではなくて、瞬間瞬間の足、足の動き、足の感覚、動作にともなう心に、できるだけ細かく細かく気づくようにしながら歩きます。動作をスローモーションで観ていくように気づきながらしていきます。
そして、歩き出すのは左足・右足のどちらでもよいですが、ここでは左足からにした説明をします。
- 両足をそろえて立ちます。立っていることに気づきます。
- 左足に注意を向け、左足を上げた瞬間に気づき、足を進める間、下ろす・下ろしている間、ずっと細かく気づき続けます。床についた感覚も気づきます。
- 右足に注意を向け、右足を上げた瞬間に気づき、足を進める間、下ろす・下ろしている間、ずっと細かく気づき続けます。床についた感覚も気づきます。
- こうして、左足、右足と歩きます。
方向転換のしかた
方向転換をする位置まできたら両足をそろえて立ち止まります。
- 端まで歩いたら両足をそろえて立ち止まり、立っている足、立っていること、足の感覚にしばらく気づきます。
- 方向転換をする心の動き、足や体、方向転換していること、足や体の感覚に気づくようにして向きを変えます。
- 向きなおったら、立っている足、立っていること、足の感覚にしばらく気づきます。
- そしてまた、上記の歩みの進めかたで歩きます。
心身の現象への対処
上記をしていて、記憶や思考、感情、心の状態、痛みやカユミなどの体の感覚が現れたときは、現れたとすぐ気づくようにします。それに反応したり考えたりなどせず、ただ平静に現れたと気づくだけにして、歩みに注意を戻し歩き続けます。
もし記憶や思考、感情、心の状態、感覚に心がとらわれてしまうようになったら、歩みを停めて、アーナパーナの基本をして、とらわれから離れ、歩みに戻ります。
痛みやカユミなどがなかなか消えないときは、それに気づきつつ、歩み続けてもよいです。なお耐えがたいときは、かいたりするなどするか、痛みがひどいときは無理をしすぎず瞑想を中断します。
日常生活の中での取組み
ゆっくりではなくて、普通よりも少しゆっくりや普通の速さで良いので取組むようにします。
直線で長めの距離を歩ける場合は直線で取組むことも良いです。また、手の位置は特別に時間をつくって取組む場合と同じではなくて、そのとき物を持っていたらそのままでかまいません。