ステップ7

ヴィパッサナー瞑想と三相、縁起の悟り

詳しくは参考ステップで説明していますが、八正道では、日常の生活のあり方の実践と瞑想の実践によって、次のように『三相』や『縁起』ということを悟り・得心して、正見が正智になります。

すべては無常『諸行無常』

ヴィパッサナー瞑想で瞑想中にする気づきにより、腹部の膨らみ・縮みが現れて消える、思考が現れて消えるなど、心身の現象が現れては消える、変化して消えることを知る体験をします。瞑想をするたびに現れていることの現れかたが変わったり、現れ自体がなくなることを体験します。

こうした体験も通して、すべては無常=すべては消える、変わる、同じままあり続けるものはない、永続するものはないという諸行無常の悟り、智慧が現れます。すべて無常、諸行無常という悟り、無常随観(ずいかん)智という智慧が現れてきます。

すべては非我・無我『諸法非我・無我』

ヴィパッサナー瞑想の瞑想中に実際に非我・無我の境地を体験したり、すべては無常、すべては消える、変わる、同じままあり続けるものではない諸行無常であるとの悟りから、固定的・永続的な実体のものは何もない、すべて非我・無我という諸法非我・無我の悟り、智慧が現れてきます。

そして、現れては消えている心身の現象を「私」「自分」等とみなしている、すべて一時の現象にすぎないと悟り、「私」「他者」「私のもの」等々の見解を持たなくなります。

すべては苦『一切行苦・皆苦』

諸行無常、諸法非我・無我という悟りが現れるようになり、「苦」は思い通りにならないという意味がありますが、すべては苦という悟り、智慧が現れてきます。

すべては苦、一切は苦であるという悟り、苦随観智という智慧が現れてきます。

3種類の苦

苦苦(くく)

一般的な心や体の苦しみのこと。四苦八苦など私たちは様々な心と体の苦しみを経験しながら生きます。

壊苦(えく)

生きていて、どんなに願っても、幸せ、快、楽が永遠に変化しないことはない、壊れるという変化・消滅による苦しみのことです。

行苦(ぎょうく)

心身の現象はすべて現われ消える、永続的ではなく一時的なもので、生きていることは心身の現象なので、生きることは、消える、永続はしない一時的ということにさらされ続けていて、思い通りにならない、満たされることはない苦であるという苦です。

因縁によって生じている 因縁生起

すべては因縁によって生じているということの理解、原因と結果、因縁生起への悟り、智慧が現れてきます。

例えば、ヴィパッサナー瞑想で瞑想中にする気づきにより、腹部の膨らみによって、それに気づく心、ラベリングする心が生じる、縮みによって、それに気づく心、ラベリングする心が生じる、歩く瞑想などで「したい」と意図する心によって動作が生じる等と知る体験をします。

また、対象があって感覚器官があって、見ること、聞くことなどが生じ、そこから判断等も生じているというプロセスを知覚する体験をします。

こうした体験を通して、無常、無我なすべては、因縁によって生じている、原因と結果の法則、因縁生起の悟り、智慧が現れてきます。