ステップ6

本格版‐食べる瞑想レベル1

【動画による講義】

【文字による講義】

流行のマインドフルネスで食べる瞑想を知る人もいますが、本来のマインドフルネスの気づきの瞑想のヴィパッサナー瞑想はそうして知られているものとは、やりかたが違います。

流行のマインドフルネスで知られている食べる瞑想は、意識的に食べ物の形や食感、味をわかろう、感じようとしますが、そうはしません。

流行のマインドフルネスで多いやりかた

注意集中して、しっかりと、食べ物の色や形や感触やにおいを確かめ、現れた思いを感じ取り、口に持っていく動作、唾液が出るのを意識して、口に入れ、口の中で食べ物の感触や味を確かめ、飲み込む感触を感じて飲み込んで…とします。

注意集中して、しっかり食べ物を見たり、感覚を感じるようにします。初めてのようなつもりでそうするとします。そのやりかたをして従来と違うように感じ驚くこともあります。

そのやりかたの問題点

そのやりかたは今までの脳の自動操縦の自動反応・自動思考の枠の中で見たり感じたりしています。初めてのようなつもりでとそうしても脳は初めてのようには動きません。

こういうやりかたを否定するつもりはありませんが、本来の本当のマインドフルネスになるには気づきの瞑想のヴィパッサナー瞑想のやりかたに取組む必要があります。

例えば、流行のマインドルネスの食べる瞑想で多く行われるやりかたで「本当の」味や形と表現することがありますが、物には本当の味も本当の形もないのが真理です。

人によって感じる味は違う、味覚や好みが変わると同じ物でも味を違って感じます。つまり味とは、その時その時にそれぞれの人が感じるものです。

本来の本当のマインドフルネスは食べ物の形や味とは自分が今この瞬間そう見ている、そう感じているという気づきです。そして本来のマインドフルネスの気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想はこのように気づけるようになるための訓練法です。

ヴィパッサナー瞑想でのやりかた

ですから、ヴィパッサナー瞑想は自分の心と体、心と体の現象とその機能をありのままにわかるようになるために、自分の心と体とその現象に意図せず、ただありのまま気づくことを徹底的にします。

さらに、気づく対象は自分の外ではなく自分の内です。

そうして自分の心身への気づきの力が高まり、従来の脳の自動反応・自動思考からも抜け出せ、物や味への反応・認識をするときがきます。

日常の動作への気づきレベル1のように、食事をゆっくりゆっくり一つ一つの動作とその体にしっかり気づきとラベリングをしながらします。

食べ物側について気づくのではなく、自分側を観察し気づきラベリングします。

  • 例えば、食べ物を見ているときは見ていることに気づき「見ている、見ている…」とラベリングします。持っているときは持っている手や腕、動作に気づき「持っている、持っている…」とラベリングします。
  • 例えば、かんでいるときにはかんでいる体、動作に気づき「かんでいる、かんでいる…」と、味わっているときは味わっている体、動作に気づき「味わっている、味わっている…」と、飲み込んでいるときには飲み込んでいる体、動作に、気づき「飲み込んでいる、飲み込んでいる…」とラベリングします。
  • 感触やにおいや味を確かめよう味わおうなど意図的に感覚・感受を求めることはしません。意図的に求めず自然に現れてきた感覚・感受には気づくようにします。
  • 例えば、甘い、辛いなどの味覚が現れたら気づき「甘さ」「辛さ」「感じている」等としばらくラベリングして気づき、動作への気づき、ラベリングに戻ります。この場合は、感覚・感受の現われが消えるまで気づきとラベリングを続けるのでなくて、しばらくそうしたら動作への気づき、ラベリングに戻ります。
  • 唾液が出てきたら、出ていると気づき「唾液が出ている」等としばらく気づきラべリングします。そして動作への気づき、ラベリングに戻ります。この場合も、しばらくそうしたら動作への気づき、ラベリングに戻ります。
  • 食事をすること以外の思考や感情が現れてきたり心がさまよったときは、現れた、さまよったと気づきラベリングはせず、動作への気づき、ラベリングに戻ります。

このやりかたを繰り返していくと、日常の動作への気づきと同様の体験や、普段より味を感じない、感じた味が消える、味が変わる、味を感じない体験などをすることがあります。

その体験は、味とは自分の脳がつくり出しているものと知るきっかけになり、味を感じたとき、この味は自分の脳がつくり出していると認識をできるようになります。味を感じるプロセスまでわかるようになる場合もあります。

ヴィパッサナー瞑想の実践の繰り返しによって、感覚を認識しているプロセス、感覚を感じている自分を観ている人になります。