【動画による講義】
【文字による講義】
この基本のやり方は、とても重要です。アーナパーナの坐る瞑想でも歩く瞑想でも日常の活用でも使うサマタ瞑想の核心になります。
普通に坐ってでよいので、やりかたを理解して練習してできるようになりましょう。
実は私はできるようになるまで数日かかりました。できなくて苦労するかもしれませんが、一度、コツをつかめるとそれからは苦労せずにできるようになれます。そして、瞑想でではもちろん、生涯、日常で役立つものになります。
アーナパーナの基本のやりかたは、前ページの講義「アーナパーナとは」で出てきた「アーナパーナサティ・スートラ」の16段階の最初のパートの4つのうちの最初の2つにしっかり取組めて、力をつけられて活かせるようになれるものです。
- 息を長く吸っているときには、「息を長く吸う」と知り、息を長く吐いているときには、「息を長く吐く」と知る。
- 息を短く吸っているときには、「息を短く吸う」と知り、息を短く吐いているときには、「息を短く吐く」と知る。
「知る」というのは、しっかり自覚できている、気づけているということで、長い息のときも短い息のときも、息の出入りをしっかり把握して気づいているようになることを目指します。
やり方の原則
まず、次を原則とします。
- ゆっくりと腹式呼吸、鼻呼吸をして、呼吸に注力し続けます。
- そして、そのために、鼻腔か人中のどちらかに注意を向け、そこで一息一息の入っていく息、出ていく息、あいだの止まっている息にずっと気づき、息をずっと把握しながら呼吸します
- 鼻腔とは鼻の穴の中、人中とは鼻の下とくちびるの間です。
- 鼻腔または人中に注意を向け、そこで息に気づき息を把握しながら呼吸しますが、把握しづらいときは強めに息をしてみて把握できる感覚・ところを見つけます。
- そして、坐禅の方法【1】の講義で紹介したリラックス・集中を助ける方法を使います。例えば心の中で「吸っている」「吐いている」と唱えるようにします。しっかり把握し続けることができるようになったら唱えないでするようにします。
やり方の手順
そして次の手順でします。読みながら手順1つずつを試しにやってみて進んでください。
鼻腔または人中で
- 吸う息がはじまる瞬間から息が入るのを気づき、入っている間、入るのが終わるまで「例:吸っている、吸っている…」と息に気づき息を把握し続けます。
- 自然に吸いきったら、数秒ほど息を止め、息が止まっていることを把握します。
- 吐く息がはじまる瞬間から息が出るのを気づき、出ている間、出るのが終わるまで「例:吐いている、吐いている…」と息に気づき息を把握し続けます。
- 自然に吐ききったら、数秒ほど息を止め、息が止まっていることを把握します。
これを繰り返します。
- 冷たい、温かいなど感覚を感じとるようにするのではなく、鼻腔または人中に息が触れていることで、ただ息を把握するようにします。
吸う息、吐く息それぞれをはじまりから終わりまで、その間もしっかりと把握するようにして呼吸を続けます。
今、幾度かしてやりかたをよく理解しましょう。そして通しで何度かしてみましょう。
上達の秘訣
禅の坐禅と違うのは、鼻腔(びくう=鼻の穴の中)または人中(じんちゅう=鼻の下とくちびるの間)に注意を向けて、入る息、出る息、止まる息をしっかり把握しながら呼吸していることに注力することです。
心の眼で静かにしっかり息の出入り止まりを観るようにして、できるだけ細かく細かく息に気づこう、息を把握しようと心がけて注力をし続けると、よりいっそうの効果を得られるようになれます。
把握することがしっかりしっかりできるようになってくると、心も体もより静まり、集中はより高まるようになります。
鼻腔や人中で一呼吸一呼吸を最初から最後までみはって気づき把握して息をすることは、すぐにはできなくてもかまわないですが、大切ですので練習しましょう。
息(そく)の呼吸になるように
ステップ2の坐禅で「呼吸の種類‐良い呼吸」を紹介しましたが、瞑想中の呼吸の状態には4種類があり、息(そく)が調っている呼吸で息の呼吸になるよう取組んでいきます。
息(そく)は、音もなくリズムの乱れもなくなめらかで、息をしているのかわからないようになり、心が安穏に深く静まってくる呼吸です。
アーナパーナは息を把握し続けているので、音がしないように、リズムが乱れず調っているようにと心がけます。そして、息(そく)になるとリラックスと集中がとても高まった状態にもなり、息をしていること、把握していることへの意識がなく、それをしているような状態になります。